「努力不要論――脳科学が解く! 『がんばってるのに報われない』と思ったら読む本」 #中野信子
感想
すごく興味深い内容だったという感じです。
科学的な根拠を持って、空気を読んでいる日本人の脳の働きを紐解いてくれました。
科学的に説明するのが難しい空気を読むという内容も、科学的でいて、私たちが納得のいくようにわかりやすく説明してくれています。
Amazonより■「努力は報われる」って本当?
今一番注目されている脳科学者が、
大人は誰も口に出したがらなかった
「努力」のウソとホントを解き明かします!
■――もう、無駄な汗は流させない! ――■
「努力は報われる」「努力はウソをつかない」など、
世の中を見渡してみると、努力をゴリ押しする言葉がアチコチにあふれています。
しかし、結局は才能がなければ徒労に終わるのでは――?
脳科学的な見地から、そんな素朴な疑問の真偽を問うことを入り口に、
自分の夢を叶えるための戦略や、才能を見つける方法、
すり減らない生き方を説いていきます。
■――搾取されない人生を――■
脳科学という視点から世の中を俯瞰すると、
「常識」と考えられたものの裏には多くの欺瞞が存在していることに気づくと語る著者は、
その代表的なものの1つが「努力は報われる」という言葉であると考え、
読者へ次のように問いかけます。
◎あなたが今している努力は、本当にあなたがしたいことなのか?
◎周りに流されてやってしまっているだけなのではないか?
◎身近な誰かに洗脳されてしまっているのではないか?
◎社会そのものに洗脳されているのではないか?
努力信仰は脳科学的にも歴史的にも、日本人にとってもっとも馴染みやすい幻想とのこと。
時折一歩引いて、上記のように問いなおす習慣のない人は、
何十年もの時間が、他者のための無駄な努力に費やされ、
自分のためにあるはずだった膨大な時間が搾取されていたのだということに、
取り返しがつかなくなってから気づくことになると警鐘を鳴らします。
近年、問題になっている「ブラック企業」が
努力信仰が招いている象徴的な例であることは容易に想像がつきますが、
それ以外にも努力信仰が招いた弊害として「少子化問題」についても吟味していきます。
そんなアテンションを読者に実感していただきたいという気持ちも込め、
あえてタイトルに「不要」という振り切った言葉を用いました。
では、努力をしないでどうやって生きていくべきなのか?
絶対に報われる努力の仕方はあるのか?
もちろん、本書では努力を切り捨てるばかりではありません。
すり減らずに格差を乗り越え、夢を実現させるために、
私たち一人ひとりができること、まわりの人たちとの協力構造の築き方など、
本書の大半を使って明確に示していきます。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
中野/信子
1975年生まれ。東京都出身。脳科学者、医学博士。横浜市立大学客員准教授、東日本国際大学客員教授。高IQ国際組織「MENSA」会員。東京大学工学部卒業後、同大学院医学系研究科医科学専攻修士課程修了(2004年)、同大学院医学系研究科脳神経医学専攻博士課程修了(2008年)。その後、フランス国立研究所サクレー研究所で研究員として勤務(2008~2010年)。現在、脳や心理学をテーマに研究や執筆の活動を精力的に行っている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです) --このテキストは、tankobon_softcover版に関連付けられています。内容(「BOOK」データベースより)
もう、無駄な汗は流させない。誰も語りたがらなかった「努力」のウソとホント。「努力は報われる・報われない」論争の終止符。 --このテキストは、tankobon_softcover版に関連付けられています。
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「女に生まれてモヤってる!」中野信子 ジェーン・スー
感想
絶対的な幸せでなくて、相対的な幸せに向かう…と言うようなところに心が響きました。
あと、40歳くらいになれば色んな意味で落ち着くということ。
専門家の言葉は大きい。そんな気がします。
臨床の世界でも言われていると知ると、自分と重ね合わせてもそのような気もする。
すべて含めて、若い頃の方が、女は何かとしんどいような…。そんな気がしました。
内容(「BOOK」データベースより)
「女らしさ」は誰のため?敵と味方とルールを再検証する。恋愛と結婚、私たちの戦略。なぜ女は自信を持ちづらいのか。ジャストフィットな生き方は自分で決める。 --このテキストは、tankobon_hardcover版に関連付けられています。著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
ジェーン・スー
1973年、東京生まれの日本人。作詞家、コラムニスト、ラジオパーソナリティ。TBSラジオ『ジェーン・スー 生活は踊る』のMCを務める。『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』(幻冬舎文庫)で第31回講談社エッセイ賞を受賞
中野/信子
1975年、東京都生まれ。脳科学者。医学博士。横浜市立大学客員准教授。東京大学大学院医学系研究科脳神経医学専攻博士課程修了。フランス国立研究所ニューロスピンで研究員として勤務後、脳科学についての研究と執筆活動を行う(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです) --このテキストは、tankobon_hardcover版に関連付けられています。
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「カラスの親指」道尾秀介
感想
初めはとてもドロドロした感じだけど、そうでなく…
とぼけたような人たちが、実はとても暖かくて、結局それは意図されたものだったんですが、どこか、安心して読めました。
内容(「BOOK」データベースより)
人生に敗れ、詐欺を生業として生きる中年二人組。ある日、彼らの生活に一人の少女が舞い込む。やがて同居人は増え、5人と1匹に。「他人同士」の奇妙な生活が始まったが、残酷な過去は彼らを離さない。各々の人生を懸け、彼らが企てた大計画とは?息もつかせぬ驚愕の逆転劇、そして感動の結末。「このミス」常連、各文学賞総なめの文学界の若きトップランナー、最初の直木賞ノミネート作品。第62回日本推理作家協会賞受賞作。 --このテキストは、paperback_bunko版に関連付けられています。著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
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「横道世之介」吉田修一
感想
ふわっとした暖かさ不思議な感覚。
主人公のいろいろな核心には触れられていない。今まで思い描いていたようなストーリーではなかった。
そして、いつの間にかストーリーが終わってしまっていた感じ、その余韻がまたいい。
私にとって、不思議な小説だった。シリーズがあるみたい。
「県警VS暴力団 刑事が見たヤクザの真実」(文春新書) 藪正孝
感想
初めは小説のように、あまり変わらずに読んでいましたが、徐々に真実と言うことが重く感じられてきました。
どこかで聞いたような話でも、真実だということが重いというのが、本当の感想です。
刑事小説が好きでも、ドキュメントとは違うと言うことがよくわかりました。
内容(「BOOK」データベースより)
脅迫・銃撃・放火・殺人・手榴弾…全国唯一の特定危険指定暴力団・工藤會。その壊滅に警察官人生をかけた元刑事の、30年余にわたる戦いの軌跡。 --このテキストは、paperback_shinsho版に関連付けられています。著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
藪/正孝
1956年北九州市戸畑区生まれ。高校を卒業して一浪後、福岡県警察官を拝命。主に刑事部門、特に暴力団対策部門に携わる。2003年3月捜査第四課に新設された北九州地区暴力団犯罪対策室副室長に就任。以後、10年間、大半を指定暴力団工藤會対策に従事。2008年全国初の暴力団対策部の設置準備作業を担当するとともに、工藤會取締りを担当する北九州地区暴力団犯罪捜査課長、暴力団対策部副部長等を歴任。2016年2月地域部長を最後に定年退職。同年4月から公益財団法人福岡県暴力追放運動推進センター専務理事を務める。2019年暴力団に関するより正確な情報を発信するため暴追ネット福岡を開設(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです) --このテキストは、paperback_shinsho版に関連付けられています。
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「空気の研究」(文春文庫)山本七平
感想
日本で大切にされている空気について、歴史的にも様々な視点から書かれていました。
見えない空気を無意識のうちに上手く使いこなしているのが日本人…
空気を味方につけて、空気のせいにする巧妙な手法も確かにある。
日本にいれば、空気を上手く操れたらもっと楽に生きられるのだろうと思いました。
Amazonより「空気を読む」ことが誰にも求められる現代の必読書!
社会を覆う「空気」の正体を正面から考察し、1983年の初版以来読み継がれ、日本の針路が云々されるたびにクローズアップされる古典的名著。
〈以前から私は、この「空気」という言葉が少々気にはなっていた。そして気になり出すと、この言葉は一つの〝絶対の権威〟の如くに至る所に顔を出して、驚くべき力を振っているのに気づく。(中略)至る所で人びとは、何かの最終的決定者は「人ではなく空気」である、と言っている〉
昭和期以前の人びとには「その場の空気に左右される」ことを「恥」と考える一面があった。しかし、現代の日本では〝空気〟はある種の〝絶対権威〟のように驚くべき力をふるっている。あらゆる論理や主張を超えて、人びとを拘束することの怪物の正体を解明し、日本人に独特の伝統的発想、心的秩序、体制を探る、山本七平流日本学の白眉。
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「打ちのめされるようなすごい本」(文春文庫)米原万里
感想
解釈が興味深く「すべて読みたい!」と思えてしまいました。
多くの本を読んだ筆者だからこそ、それぞれの良さを伝えられています。
また、筆者のお勧めするパワーがホントにすごい。その人にその本が合うかどうかはまた別の問題としても、筆者がその本をおすすめする気持ちが読んでいて伝わってきました。
内容(「BOOK」データベースより)
「ああ、私が10人いれば、すべての療法を試してみるのに」。2006年に逝った著者が最期の力をふり絞って執筆した壮絶ながん闘病気を収録する「私の読書日記」(「週刊文春」連載)と、1995年から2005年まで10年間の全書評。ロシア語会議通訳・エッセイスト・作家として活躍した著者の、最初で最後の書評集。著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
米原/万里
1950年生まれ。元ロシア語会議通訳、作家。59~64年、在プラハ・ソビエト学校に学ぶ。東京外国語大学ロシア語科卒業、東京大学大学院露語露文学修士課程修了。80年設立のロシア語通訳協会の初代事務局長を務め、95~97年、03~06年会長。92年、報道の速報性に貢献したとして、日本女性放送者懇談会賞を受賞した。著書『不実な美女か貞淑の醜女か』(徳間書店、新潮文庫)で読売文学賞、『魔女の1ダース』(読売新聞社、新潮文庫)で講談社エッセイ賞、『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』(角川書店、角川文庫)で大宅壮一ノンフィクション賞、『オリガ・モリソヴナの反語法』(集英社、集英社文庫)でBunkamuraドゥマゴ文学賞を受賞。2006年5月、逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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「誰もわかってくれない 傷つかないための心理学」(ハヤカワ文庫NF)ハイディ・グラント・ハルヴァー
感想
題名から思ったよりも意外に、すごくしっかりとした本でした。
普段の生活の中から愛着に関することまで、人が人のことをどう感じているのか
具体的に記されていました。
人のタイプによって、アドバイス声の掛け方を変えるところなどの違いが、私にとって一番印象的でした。
出版社からのコメント
『やってのける』『やり抜く人の9つの習慣』著者が今回取り組むのは、人間関係改善の心理学。理解しがたい他者の言動について、その心理学的な理由だけでなく、それぞれのパターンに合った対処法について、わかりやすく述べています。内容(「BOOK」データベースより)
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「海辺のカフカ」村上春樹
感想
抽象度の高いストーリーで、読み手の想像の部分がすごく多く面白く感じられました。
迷い込む世界に意味があるようで、また、視点を変えると世界が広がることを教えられる部分もあって、これは本でしか味わえない世界だ、とすごく感じました。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
村上/春樹
1949(昭和24)年、京都府生れ。早稲田大学文学部卒業。’79年、『風の歌を聴け』でデビュー、群像新人文学賞受賞。主著に『羊をめぐる冒険』(野間文芸新人賞)、『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』(谷崎潤一郎賞受賞)、『ねじまき鳥クロニクル』(読売文学賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです) --このテキストは、paperback版に関連付けられています。内容(「BOOK」データベースより)
15歳になった僕は二度と戻らない旅に出た。彼は長身で、寡黙だった。金属を混ぜ込んだような強い筋肉を持ち、世界でいちばんタフな15歳の少年になりたいと思っていた。東京都中野区にもしある日、空から突然2000匹の生きた魚が路上に落ちてきたら、人々は驚かないわけにはいかないだろう。多くのネコたちは名前を持たない。多くのネコたちは言葉をもたない。しかしそこには言葉を持たず、名前を持たない悪夢がある。 --このテキストは、tankobon_hardcover版に関連付けられています。
「侠飯」(文春文庫)福澤徹三
感想
面白かったです。
初めは任侠モノかなと思いながら読んでいると、料理がとても美味しそうで、どんな事件に巻き込まれるのだろうかとドキドキしていましたが…
面白くていいお話でした。シリーズものみたいです。
内容(「BOOK」データベースより)
グルメ×任侠!! 書き下ろし小説!
就職活動中の大学生が暮らす6畳のワンルームに転がり込んできたヤクザは、妙に「食」にウルサイ男だった! 異色グルメ小説。
就職活動に悩む大学生・若水良太は、ヤクザどうしの銃撃戦に巻きこまれ、組長の柳刃竜一が部屋に居座ってしまう。居候の柳刃はお取寄せが趣味でキッチンを占領しては料理を作り、恐怖と美味に混乱する良太。そこに同級生たちも加わって事態は予想外の方向へ! まったく新しい任侠×グルメの異色料理小説。文庫書き下ろし作品。
新宿駅近くでヤクザの抗争勃発! 銃弾飛び交うなか、リクルートスーツ姿で歩いていた岩永は、逃げるベンツにそのまま拉致され、一人暮らしの自分の家に組長・柳刃竜一をかくまうことに。カップラーメンや安酒など貧しい食生活ながら気ままな暮らしを楽しんでいたところに、転がり込んできたヤクザは、妙に“食"に煩い奴だった! むさい男ふたりが狭い6畳間で繰り広げる、任侠グルメ小説。
ご飯の炊き方、みそ汁の作り方の基礎を皮切りに、オイルサーディンを缶詰のままコンロに乗せて煮立てるなつかしの昭和バーテン料理の再現など、独特の切り口で、グルメ雑誌の表街道に出てこない、〝日陰のグルメを〟紹介する連作小説。
(主要登場人物)
主人公 若水良太(わかみず・りょうた) 22歳 Fランク大学生。就職活動中、一人暮らしでいい加減な食生活で暮らしているごく一般的な大学生
柳刃竜一(やなぎば・りゅういち)柳刃組組長。 切れ長の目、眼光が鋭い。鼻筋が通った端正な顔だが、頬に深い傷跡がある。歳は30代後半に見える。食にうるさいが、金をかけるグルメではなく、ちょっとしたコツを得意とする。
その他、一癖、ふた癖もあるキャラクターが、作品世界を彩ります。
2016年7月テレビ東京系でドラマ化。
出演:生瀬勝久、柄本時生、内田理央、三浦誠己ほか著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
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「熱源」川越宗一
感想
面白かった。樺太アイヌについていろんな側面から語られていて、実存の人物も登場しその世界にのめりこめました。
文明の波がやってきた時に、アイヌの人たちが考えたこと。
倭人たちはすんなりと文明を受け入れられたのだろうか…
アイヌの生き方がもともと自由だったからか、自然の中で生きてきたからか
少し見えたその生き方、考え方に憧れも感じました。
終わりまで読んで、やっと初めに繋がった感じでした。
内容(「BOOK」データベースより)
故郷を奪われ、生き方を変えられた。それでもアイヌがアイヌとして生きているうちに、やりとげなければならないことがある。北海道のさらに北に浮かぶ島、樺太(サハリン)。人を拒むような極寒の地で、時代に翻弄されながら、それでも生きていくための「熱」を追い求める人々がいた。明治維新後、樺太のアイヌに何が起こっていたのか。見たことのない感情に心を揺り動かされる、圧巻の歴史小説。 --このテキストは、kindle_edition版に関連付けられています。著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
川越/宗一
1978年、大阪府生まれ。龍谷大学文学部史学科中退。2018年、「天地に燦たり」で第25回松本清張賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです) --このテキストは、kindle_edition版に関連付けられています。
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「怒り(上・下)」 吉田修一
感想
すごく深い内容でした。
そして、人を信じることが、すごく難しいということをこの作品から感じました。
最後には、自分の弱さから自分を守りたい思いから、人を信じ切れない気持ちがある…信じることの反対は、裏切りになるのだろうか。
形ないものを信じ続けることの難しさを、たくさんの人の視点から見せられました。
登場人物の人間性が魅力的なこととそれぞれの内省が深められる様子が、読んでいて面白かったです。
内容(「BOOK」データベースより)
若い夫婦が自宅で惨殺され、現場には「怒」という血文字が残されていた。犯人は山神一也、二十七歳と判明するが、その行方は杳として知れず捜査は難航していた。そして事件から一年後の夏―。房総の港町で働く槇洋平・愛子親子、大手企業に勤めるゲイの藤田優馬、沖縄の離島で母と暮らす小宮山泉の前に、身元不詳の三人の男が現れた。 --このテキストは、paperback_bunko版に関連付けられています。
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「クライマーズ・ハイ」横山英夫
感想
山登りの本かと思って、軽い気持ちで読み始めたらすごい作品でした。
あの日航ジャンボ機墜落事故と新聞社事情と、山と、それぞれの親子関係とが、絶妙な割合でミックスされていました。
昭和の時代の話だけれど、当時の会社組織はこんな感じだったのだろうか…。
確実な裏取を待つのか、スクープを狙うのか、また、投稿内容の判断など、何気ない紙面にもいろいろな思惑があるのだな、とも思った。
説明
硬派の警察小説や社会派ミステリーの分野で当代一の横山秀夫が、上毛新聞記者時代に遭遇した御巣鷹山日航機墜落事故取材の体験を、本格長編小説にまとめ上げた。常に新しい手法を模索し手抜きを知らない著者の、会心の力作だ。組織と個人の軋轢、追う者と追われる者の駆け引きなどを緻密な筆でつづり、水際立った展開で読み手を引きこむのが横山の持ち味である。しかし本作では、あえてその筆の巧みさに自ら縛りをかけ、実体験をベースに抑制の効いた渋い群像小説となった。トリッキーな仕掛けや、えっ、と声が出そうなスリリングな結末、といったものはない。練りに練ってこれ以上は足し引き不可能な研ぎ澄まされた文章で、未曾有(みぞう)の大事故に決然と立ち向かい、あるいは奔流を前に立ちすくむ人間を描いている。
地方新聞の一筋縄ではゆかない、面妖と言っても過言でない人間関係、ひりひりした緊張感。おそらく横山自身が体験したのであろう新聞社の内幕はリアルで、読み止めを許さない。過去に部下の新人がなかば自殺の事故死を遂げた負い目をもつ主人公は40歳の遊軍記者だ。大惨事の現場にいち早く到着し、人間性のどこかが壊れてしまった26歳の若手記者や、現場雑感の署名記事をつまらぬ社内の覇権争いでつぶされる33歳の中堅記者、「下りるために登るんさ」と謎の言葉を残して植物状態になった登山家の同僚――どの登場人物も、著者の一部であり、また思い通りにゆかない人生を懸命に生きる、すべての人間の一部でもある。
本作は、普通に捉えれば著者の新境地だろう。しかし、これはむしろ横山が元々、奥深くに抱いていたものではないか。著者は本書を上梓することで、自身も過去に決着をつけようとしている印象を強く受ける。やや明る過ぎて物足りない感のある結末も、聖と俗を併せ持つ人間にもっと光を当てたい、救いたいという願いであり、そしてなにより著者自身が本作を支えに新たな一歩を踏み出すためのものだろう。また、そうであってほしい(坂本成子)
--このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。
内容(「BOOK」データベースより)
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「潜入捜査」今野敏
感想
一味違った刑事もの。謎の部分も多いけれど、大化の改新からのつながりを感じながら、現代に手裏剣やパチンコ玉受け入れられてしまうくらい説得力のあるところが面白かったです。刑事ものだけど、また一味違ったテイストでした。
著者について
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「『一人で生きる』が当たり前になる社会」荒川和久 中野信子
感想
何かで読んだともうけれど、女は「仕事」男は「恋愛」で自己肯定感が決まってくることは、再度納得できました。
2040年にはソロの方が多くなり、既婚の方がマイノリティになると…これは衝撃的。
そういった社会に入れないとダメと言う思いが強く、同調圧力が強いのはアメリカの方だと言うことも、すごく意外だった。階級的な考え方が強いらしく、社会の方が優先される欧米だとは、まったく考えてもいなかった。
日本は、昔からソロ文化があったのだと、改めて認識しました。
出版社からのコメント
ソロ社会、個人化する社会は、決して絶望の未来ではありません。
私たちは一人ひとりが新たなコミュニティを構築していく必要があります。
それは、今までのような、家族・地域・職場という縁で結びついた大勢の人間が
「所属するコミュニティ」の中で協力しあっていくだけではなく、
互いに「接続しあう」ことで、結果としてコミュニティの役割を果たす「接続するコミュニティ」を意識することではないかと思います。
(「あとがき」より) --このテキストは、paperback_shinsho版に関連付けられています。著者について
荒川和久
独身研究家/マーケティングディレクター。ソロ社会論および非婚化する独身生活者研究の第一人者として、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌・Webメディアなどに多数出演。韓国、台湾などでも翻訳本が出版されるなど、海外からも注目を集めている。著書に『結婚しない男たち―増え続ける未婚男性「ソロ男」のリアル』(ディスカヴァー携書)、『結婚滅亡』(あさ出版)、『ソロエコノミーの襲来』(ワニブックスPLUS新書)、『超ソロ社会―「独身大国・日本」の衝撃』(PHP新書)など。
中野信子
1975年、東京都生まれ。脳科学者、医学博士、認知科学者。東京大学工学部応用化学科卒業。同大学院医学系研究科脳神経医学専攻博士課程修了。フランス国立研究所ニューロスピン(高磁場MRI研究センター)に勤務後、帰国。現在、東日本国際大学教授。著書に『ペルソナ』(講談社現代新書)、『サイコパス』(文春新書)、『キレる!』(小学館新書)、『悪の脳科学』(集英社新書)、『空気を読む脳』(講談社+α新書)ほか。テレビ番組のコメンテーターとしても活躍中。 --このテキストは、paperback_shinsho版に関連付けられています。
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