自分を最優先にできなかった女性へオススメの本「ドールハウス」姫野カオルコ「結んで、ひらいて」壬生紫紅
Kindle本を耳読しています。
今回は
壬生紫紅さんの「結んで、ひらいて」をご紹介します。
私の中で感じられる、両作品の共通点があり一緒に紹介したくなりました。
それぞれの作風や視点、題材は違っているのですが
作品の奥底を流れるテーマのようなものに同じ感覚を、私が感じたことが理由です。
読み終えるまでの平均的な時間(2時間49分)
姫野カオルコさんの「彼女は頭が悪いから」を読んでの2作目。
姫野さんのこの2作からは、心が痛みながらも、どこか人間の滑稽さを表現されているところが、さすがに上手いと感じています。
その人間模様から、心痛みながらも興味深く読み進められました。
両親との関係、そして女性としてどう生きていくのかという課題をもちながら、いくつになっても両親を最優先に、自分の自由という感覚が育てられなかかった、少女のままの女性を気の毒に思いながらも、私は、どこか自分との共通点を見ることができたような気がしました。
そういう読者は意外と多いのかも、と感じています。
どこまでも奥深い作品でした。
「結んで、ひらいて」壬生紫紅
読み終えるまでの平均的な時間(2時間33分)
私にとっては、読むのがしんどい部分と心温まる部分が、交互に出てくるような本でした。
自由を奪われたという言葉だけでは語り尽くせないですが、車椅子の女性が、しっかりと自分の力で生きていこうとする姿に心が温まりました。そして、たくさんの重い荷を背負った男女が出会い、切なさの中からも心が温まりました。
子どもの頃から、家庭や身近にいる人たちが、完全的な見方でなかった場合、子どもの心は無力感でいっぱいになってしまいます。
そして、気づかぬ間に大人になっているのですが、外の世界へ連れ出してくれるきっかけとなる人物や出来事があるだけで、その人生は大きく変化していくと感じました。
今回ご紹介した両作品は、なんとなく私の中で同じカテゴリーに入っていました。
上手く言語化はできていないですが、
子どもの頃の育ちや、無理だと思っていた境遇からも自分の力で脱することができる…というような強いメッセージが、両作品にあるように感じています。