心理師 juneberry’s blog

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父のこと#13 緩和ケア病棟

緩和ケア病棟に、先週から入り、初めてお見舞いに行った。

面会は1日中自由。1家族3人まで、15分まで。

ナースステーション前の入り口で、検温を済ませて部屋を教えてもらう。

妹からの情報では、痩せていたと聞いていたが、やっぱり痩せていた。それよりも声のボリュームがない。活気もないと感じた。

癌になる以前、私の小さい頃から、感染症にはとても敏感で、私たち子どもが風邪をひくと、父は近づかないようにしていた。

部屋での会話のほとんどは

パンデミックやから、出歩かんほうがいい」

という内容。少し認知も低下しているのかも、それはわからない。

私たちへの気遣いか、自分へ流行るから、という遠回しの言葉なのかはわからないが、とにかく感染症はイヤだということだけがよく分かったので

私と夫とは、家族で作った、少し地味でおしゃれな色紙のようなものに書いたメッセージだけを、サッと渡して部屋を出た。全部で2、3分くらいだった。

「あとで見せてもらうわ」

そう言っていた。

 

体調が悪くなって入院したのが、去年の12月下旬。そこから1年、余命と言われた月日よりは少し長いようだ。病室での

「明日、誕生日やな」

という私の問いかけに、父が

「2ヶ月は得している」

みたいなことを言っていたが、声が聞き取りにくくわからなかったが、相槌を打った。そうなのか。父は、明日で80歳になる。

帰りの車中で、いろいろ考えた。後悔の無いようにと思っていろいろやってきたつもりだったが、私にできることは、この1年で出来たのだろうか。

何より、父への感謝を伝えるということが、私の一番の目的だった。

夏ごろに手紙を書いたり、ちょっとした時に話たり、最後には家族からのメッセージ。これで伝わっていてほしいと思う。自己満足で終わっていないことを願う。

今日の父の状態を見て、築年数の古い実家で、よく、先週まで過ごして来れたなと思った。食事も特に配慮のない同じものを食べていただろうし、バリアフリーではないし、階段の上り下りもあるし…。

食べ物があまり摂取できていなかったのだろうと勝手に思っている。だから、痩せてきていた。トイレに行くのも遠いし、部屋ごとに気温が違って寒かっただろう。私の口出しできるところではない。

父はデイサービスも利用したことがないので、今、緩和ケア病棟に入院して、看護師さんが優しく話を聞いてくれることで、心が開放されればいい、と思っている。自宅ではなく、病棟ということでお互いに気持ちの良い関係で、何の心配もなく過ごせたらいい、と思った。

今日、短い面会をしてみて、緩和ケア病棟へ入り安心したことで、父の張っていた気が、フッと抜けているように感じている。

それがいいことなのか、どうなのかはわからないが

父が心地よければいいと思った。

あと、感染症を怖がっている父に、高校生と大学生の息子を会わせるのは、難しいと感じた。

あと、月の満ち欠けを調べてみた。今月は、15日が新月で29日が満月…。