「ロクヨン」上・下 横山秀夫
警察組織の複雑さを、知った気がしました。
警視庁と地方と、キャリアとそれ以外と、職種の違い?が複雑に絡み合いながら、はいかイエスかしかない世界って、なかなか一枚岩になるのは難しいな…すごい組織だと。
企業よりも、それぞれの思いや立場を持った人が集まっていて、それが一つになることがあるんだろうかと、上巻を読み終わった時に感じました。
上巻から続く、組織が一枚岩となっていないところをクローズアップした感じになっているが、それぞれの立場から県警を守りたいという気持ちは強い。
警察側の犯人を捕まえたい強い思いと、自分たちのミスを隠したい思い、そして自分の立場保守の思い…そして、被害者側の犯人を捕まえてほしい、そして無念と、警察への不信感。
だいたい多くの推理小説は、主人公が謎を解き明かすことが多いが、推理のその上を行く人がいたところに驚きと、安心感とがあった。
全編とおして私が強く感じたことは、大きな組織をまとめていき、さらに事件を解決していくとなると、想像もつかない統率力が必要なんだと。
側から見ると統制の取れた組織内でも、組織内にはいろいろな思いを持っている人がいるんだ…。
とても面白かった。
内容(「BOOK」データベースより)
元刑事で一人娘が失踪中のD県警広報官・三上義信。記者クラブと匿名問題で揉める中、“昭和64年”に起きたD県警史上最悪の翔子ちゃん誘拐殺人事件への警察庁長官視察が決定する。だが被害者遺族からは拒絶され、刑事部からは猛反発をくらう。組織と個人の相克を息詰まる緊張感で描き、ミステリ界を席巻した著者の渾身作。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
横山/秀夫
1957年東京生まれ。国際商科大学(現・東京国際大学)卒業後、上毛新聞社に入社。12年間の記者生活を経てフリーライターとなる。91年「ルパンの消息」が第9回サントリーミステリー大賞佳作に選ばれる。98年「陰の季節」で第5回松本清張賞を受賞。2000年「動機」で第53回日本推理作家協会賞・短編部門を受賞する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)