心理師 juneberry’s blog

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本のご紹介「坂の途中の家」朝日文庫 角田光代

読み終えるまでの平均的な時間(8時間23分)

感想

裁判員裁判で虐待事件にかかわる主婦が主人公。

私は、子育て中のしんどさを思い出し、読んでいて怖かった。この分野は心理サスペンスと言うんだ…。

事件を紐解きながら、自分が子供に行っていることや、夫との在り方、義母との関わり方を照らし合わせ、だんだんと自分を見つめ直していくプロセスが、なぜか怖く感じた。

きっと、これは子育て中の私の心理と被っているところが多かったから、入り込んでいたんだと思った。

虐待事件にならないまでも、言うことを聞かない小さな子どもへの対応についての悩みごとは多かれ少なかれ母親なら感じることなのかも知れないが、私の心の深くに入り込んでくるものだった。

主人公が自分の生き方を見直したように、私はちょうど20年ほど前に家庭内で行き詰まっていた頃の、あまり思い出したくない子育ての思い出を、棚卸しできたような気分になった。

内容(「BOOK」データベースより)

刑事裁判の補充裁判員になった里沙子は、子供を殺した母親をめぐる証言にふれるうち、彼女の境遇に自らを重ねていくのだった―。社会を震撼させた乳幼児の虐待死事件と“家族”であることの光と闇に迫る、感情移入度100パーセントの心理サスペンス。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

角田/光代
1967年神奈川県生まれ。90年「幸福な遊戯」でデビュー。96年『まどろむ夜のUFO』で野間文芸新人賞、2003年『空中庭園』で婦人公論文芸賞、05年『対岸の彼女』で直木賞、06年「ロック母」で川端康成文学賞、07年『八日目の蝉』で中央公論文芸賞、11年『ツリーハウス』で伊藤整文学賞、12年『紙の月』で柴田錬三郎賞、同年『かなたの子』で泉鏡花文学賞、14年『私のなかの彼女』で河合隼雄物語賞を受賞。現在、『源氏物語』の完訳に取り組んでいる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)