「代償」伊岡瞬
私が、Kindle本を耳読した本の感想を、ご紹介しています。 本選びの参考になれば、と思っています。
読み終えるまでの平均的な時間(6時間27分)
感想…
解説に書いてあったのだが、後味の悪い嫌なミステリーのことを「嫌ミス」と言うらしい。
そういう分野があると言うことを知って驚きました。
主人公はツラい少年時代を過ごすのだが、とても良い友達とその親戚に出会って救われると言うところは、「嫌ミス」でもやはり小説的でほっとしました。
この「嫌ミス」と言うカテゴリーは、なかなか人の心に響くというか、えぐられるような感じで心の中にぐっと入っててきます。
また、それを心地よいとは感じてはいないが、心を揺さぶられる感じが心地よく?
やはり、読書で心を動かされる感覚というのは、読書の中での真骨頂で、読者が求めているものだと感じてしまいました。
この作品で言うと、達也の小学生でありながら、そこまでの世渡り術、大人の弱みを把握しそれを手のひらで転がすような行動や、振る舞いをできてしまうところが、彼の中での生育歴から来るものだと思うと、少し寂しい。
代償という題名が、誰にとっての代償だろうか、を思いながら読み進めていました。
内容(「BOOK」データベースより)
著者について
「ボーイミーツガールの極端なもの」山崎ナオコーラ
私が、Kindle本を耳読した本の感想を、ご紹介しています。 本選びの参考になれば、と思っています。
読み終えるまでの平均的な時間(3時間16分)
感想…
恋についての短編だけど、それぞれが少しずつ絡んでいました。
こういった短編が、初めてだったので、前半を読み終える頃に、やっと、なんとなくの全体像が見えて、それぞれの共通点が見えてきました。共通点は、その人の想い、恋。
年齢、性別関係なく、人に対する想い、その人を大切に想うということが中心。その対象は人でないかもしれない、と言う。大切に思うこと、それを描いています。
読み終わったときに、うっすらと共感できる部分がありました。
でも、その内容を考えようとすると、消えてしまいそうな…
私は、まだ言葉にはできない感覚。
自己完結していてもいいという、無償のと言う言葉が似合うような思いを感じました。
共感できる読書も楽しいですが、
そんな感覚もあるんだと思える感覚も、読書をしていて新鮮です。
内容(「BOOK」データベースより)
著者について
1978年生まれ。2004年、「人のセックスを笑うな」が第41回文藝賞受賞作となり、以降、作家として活動。主な著書に、『人のセックスを笑うな』『浮世でランチ』『カツラ美容室別室』『お父さん大好き』『昼田とハッコウ』などがある。近作のエッセイ『太陽がもったいない』では趣味のベランダ園芸について執筆。本作は、自身も愛するサボテンを題材にした、『ニキの屈辱』以来の恋愛小説である。 --このテキストは、tankobon_softcover版に関連付けられています。